チューハイの元祖!?
昭和30年頃。ビールやウイスキーはまだ、庶民にとって高嶺の花でした。
もっぱら飲まれていたのは焼酎でしたが、当時は品質も悪く、味も匂いもただただ強烈なだけ。
そんな時に生まれたのが、ホイス。庶民のあこがれだったウイスキーをもじって、ホイスキー。
転じて、ホイスと名付けられたこの酒は知る人ぞ知る「チューハイの元祖」なのです。
ホイスと焼酎と炭酸を、4:6:10の割合で割る…。そんな飲み方が、秘かなブームとなりました。
当時から小売りされることはなかったので、一般に爆発的に広まるには至りませんでした。それが、「幻の酒」たる由縁です。
花のお江戸、白金生まれ。
ホイスが生まれたのは、東京・白金。
この高級住宅街に、いまもこぢんまりとしたビルを構える後藤商店。
その先代社長が生みの親です。そう、れっきとしたメイドインジャパンの酒。
いまもここ白金で、ホイスは造られています。製造場所は、ビルの2〜3階にある工場の一角、
「調合室」と書かれた部屋。理科の実験室や研究室を思わせる室内には、いろいろな瓶が整然と並んでいます。
そこで、先代社長が生み出したホイスの味をいまも出せるのは、後藤勲さん現社長ただひとり。
ステンレスの大釜に材料を入れ、蒸気で蒸し、冷やしてから日本酒に使われる茶色の一升瓶に充填。
そして1本ずつ手作業で王冠を閉め、出荷しています。
思いのほかさわやかな飲み口。
しかも、クセになる味。
では、ホイスを飲んだことがない人のために、その味をご紹介しましょう。
ベースとなっているのは、ロシアの酒、ズブロフカ。
そこに、漢方薬であるトウヒとチンピ、南米産の強壮成分であるコンズランゴウとチラータなどを配合し、
さらにリキュールやワインなどの酒を加えています。
もちろん、門外不出、秘中の風味を加えていることは言うまでもありません。
で、飲み心地は……これだけのものが入っているのですから、かなりクセの強い酒と思われるでしょう。
しかし、意外にも、さわやかな飲み口。なるほど、これが「チューハイの元祖」たる由縁でしょうか。
かすかな甘ささえ感じられます。いちど口にしたら、クセになりそうな旨さです。
なぜ、世界の酒、世界の材料が?
ズブロフカ、リキュール、ワインなどの酒。漢方薬や南米産の強壮成分。
ホイスは世界の酒、世界の材料を配合し、造られています。
その理由は、ホイスの創案者である先代社長が東京大学哲学科を卒業後、無銭旅行で世界を回ったことにあるかも知れません。
世界各国の料理を作り、モルト原酒を自分で混ぜてオリジナルウイスキーも造っていた先代は、医学にも通じていたと言われています。
創案当時の焼酎を体に悪いと憂い、「安くておいしいだけでなく、体にも良い酒を」との思いから、
ホイスを造ったと言えなくもありません。そんな先代の哲学を思い返し、強壮健康酒と思って飲めば、
酔い心地まで変わってくるかも…。
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